脂肪を燃やす自前の暖房

寝苦しい季節から布団の温もりが恋しい季節になり、長野県に来ると薪ストーブが必要になります。山に行く朝、肌寒く雲行きが怪しいと、暖かい布団からも家からも出たくなくなります。しかし早朝の森を登り始めるとそんな躊躇など吹き飛び、小一時間もすると脂肪を燃やす自前の暖房で身体が暖まり始め、豊かな気持ちになります。登山道から人の姿が減る、冬の山歩き以上のリトリートはありません。下山後に、ほぼオフグリッド、ほぼ自給自足で暮らすお宅に伺い、懐かしい野菜畑の香りをかぎながら収穫をすると、やすらぎと豊かさを感じます。自らが生産に関わる節度ある暮らしこそが生きていることの豊かさなのであって、人と比べるために不用品を買い集める限り、安らぎの時間は得られないのでしょう。豊かさの呪いが欲望を増殖させ、人々を自然から遠ざけ、生きる目的さえも奪ったような気がします。

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