トルコ・シリア大地震で、278時間ぶりに40代の男性が救出されました。飲まず食わずで生き延びられる限界とされる72時間の壁は、阪神・淡路大震災を契機に使われ始めた用語です。人は呆気なく死ぬもので、定年退職して2、3年のうちに相次いで没した人を何人も知っています。老後は呑気に暮らしたいと思った途端に衰えが始まり、体力や生命力が急速に失われるのかもしれません。一方、驚異的な生命力で不死身のような人もいます。運命と言えばそれまでですが、寒さや飢えのような生命の危機に際し、動物本来の生命力が呼び覚まされ、逆境こそが生命力を高揚させる最大の因子だと思います。72時間で生存確率が著しく低下するのは、食べなければ死ぬという思い込みを持つからで、その4倍もの時間を生き延びた人は、おそらく普通の人が持つ信念体系から自由だったのでしょう。