早く帰りたいのが良い旅行

夏休みの旅行は楽しいものですが、帰る日が近づくと日常生活に引き戻され最後の夜がたとえ豪華な宿だとしても寂しくなります。一方、山での不便を強いられる旅は、早く家に帰り風呂に入り、生鮮食品を食べる日常に戻りたいので、旅の後半もテンションを維持できます。荷物を減らすには山小屋泊まりが有利ですが、薄い布地一枚を通して自然と向き合うテントは、突風に煽られ、ときには浸水し不安や不快を味わう反面、大地で眠る言い知れぬ開放感があります。テントをたたく雨音に心が落ち着くのは、偉大な布地に守られるシェルター内が実は天国だからでしょう。旅とは本来、過酷な自然と向き合うものですが、肉体を使わず快適に旅するためにお金を払い、一方で旅からは身体感覚が消えていきます。旅行から戻り束の間の夢から覚めるより、日常生活の偉大さに気づく旅は、支払った金額とは逆に幸せが続くのでしょう。

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