癒しも気晴らしもいらない

東京と長野県を行き来して感じるのは、東京の自宅に戻ると気分も体調も悪くなることです。体が重く、頭がぼんやりして不機嫌になるのは、暑さによる寝不足だけが原因ではなさそうです。アスファルトに覆われた住宅街は早朝から気だるく蒸し、冷涼な森の空気を吸い込み足裏の感触を味わいながらラブラドールと散歩するのとは天地の開きがあります。鬱積と気晴らしを繰り返しながら過ごす都市の、最後の必然性もコロナ以降の非接触社会では薄れて行くのかもしれません。リアルに人に会えることは都市の魅力の一つですが、他方で本当に有益な人と会う時間の何倍もそれ以外の人付き合いをするはめになります。美味しい料理を出す店や華やかな商業施設、年中開かれるイベントも、癒しも気晴らしも、都市の虚構を覆い隠す仕掛けに見えます。これは個人の趣味嗜好ではなく、人体との相性の問題だという気がします。

Translate »