外出する日は食事のことを忘れますが、家でのんびりしていると何かを食べたいといった雑念が生じます。考えただけで急に食欲が芽生えることを見ると、食欲は自然の摂理ではなく自作自演の欲求でしょう。昨日も散歩に遠出したついでにパンを買ってしまい昼食に食べた後、普段は感じない種類の空腹を夕食時に覚え、小麦が人を栽培しているという比喩はあながち間違いではないと思います。元々は毒を見分けるために発達した味覚ですが、安全な食糧を調達できるようになった現代人は、それを快楽のために使うようになりました。快楽は神経伝達物質の分泌と受容体の感度によりもたらされ、普段の食事と、高級な飲食店で食べたときとの違いにたいした差はありません。われわれが感じる食べる喜びは、味覚によってもたらされるのではなく、低血糖と演出による一種の自己洗脳なのでしょう。