東急グループを離れて20年以上が過ぎますが、東急ハンズの売却は近年にない驚きです。東急グループの総帥であり中興の祖と言える故五島昇氏が命名したとされ、DIYブームの主戦場であったホームセンターを都市型に洗練させた火付け役です。その神話的な品揃えはロングテール戦略のパイオニアであり多方面に影響を与えました。誕生から45年が過ぎ、特別な思いを持つ人がグループ内に少なくなったのか、他の選択肢を考える余裕がないほど経営が悪化したのか事情は分かりませんが、精神的な支柱を失ったことは間違いないと思います。プロダクトポートフォリオの付け替えと言えばそれまでですし、地方と都市部の相互補完性、R&Dやインフラ活用の効率化を考えれば良い結婚に見えます。しかし合理的な思考は、行為の望ましさはその結果として生じる効用によって決定されるべきとする功利主義に陥りがちで、他方でどうしようもなくなるまで傍観するのは組織人の悪い性です。多くの人は病気を発症するまで欲望を放置して健康のために生活を見直しませんが、企業の運命も同じなのかもしれません。