今の世界はフランス革命やナチス台頭の時と同じ群衆心理の状態にあるのかもしれません。漠然とした不安と不満により視野が狭くなり、自己を喪失します。大切な問題から目をそらされ、やがて異なる意見や価値基準に不寛容となり、福沢諭吉が「愚民の上に苛き政府あり」と述べたような全体主義、管理社会へと進みます。本人の自覚とは逆に人間は愚かな存在で、本末転倒は人間の悲しい性です。生きるために欲があるのに欲のために生きる人は少なくありません。暴走した欲は冷静な思考を奪い、浪費を覚えた人は働いては消費する目まぐるしいサイクルのなかで自分を見失います。際限のない消費社会のなかで、もはやその意味を失ったモアに気づかず、トレッドミルのスピードをさらに上げようとします。生活にモノがあふれるほど気持ちは重くなり、余計に消費した食べ物は脂肪となって蓄積され自分の身体を攻撃します。消費するほどますます消費者以外の何者にもなれない自身のアイデンティティはそこにはありません。歴史に学び、生命や意識、宇宙の全体像を理解することなしに、混乱する時代を自分らしく生きることは難しいのでしょう。