意味を再構成するブランド

村上開新堂のクッキーをいただきました。明治元年(1868年)に村上光保が国家政策の一環として洋菓子製造技術習得を命じられ、日本で最初の洋菓子専門店を営んだことが村上開新堂の始まりです。以来153年、現在6代目の歴代当主が工夫を重ねストイックに味の追求をして来たと言います。量産体制は味の低下を招くことからデパートの名店街などへの出店も断り、広告費用は味の向上に使う思いから行ないません。明治の欧化政策の象徴である鹿鳴館において洋菓子一切の製造を担当してきた日本洋菓子史そのものです。7千円というクッキーの値段にも驚きますが、転売屋の手を通すと3万円に跳ね上がり、今どき登録された顧客の紹介でしか買えず、以前は数ヶ月待ちだった予約は1年前に埋まるそうです。この背景を知るなら有り難く食べ、知らなければ古風なクッキーとして食べてしまうかもしれません。商品を評価する感情や記憶は客観的な知覚情報ではなく、入手できる全ての情報に影響を受け意味を再構成します。その偉大な歴史への賞賛、尊敬なしにはブランドは成立しないのでしょう。

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