五輪の象徴である聖火リレーがスタートしたのもつかの間、「まん延防止等重点措置」が始まることになりました。抑制効果を疑問視する声も聞かれますが、ゴールデンウイークに旅行を計画する人にとっては悩ましい状況です。季節のよい時期とは言え人混みの観光地に押し寄せる習慣は今も続く昭和の価値観でしょう。最も行きたい旅は山の稜線を何キロも歩く縦走ですが、重い荷物では距離を稼げず、日本の山小屋のアメニティレベルが低いことは難点です。風呂に入り布団でしっかり眠ろうとすると、毎日2、30km程度歩きながら下山して麓の宿に泊まる軟弱なステージレースは理想的です。旅の重要な要素は目的地ではなく移動プロセスにあり、目的地に到達する感動を特別なものにしてくれるのは人力移動だと思います。同じように旅の従属物だった宿泊施設が旅の目的になったように、脳のニューロンを活性化する移動そのものが価値の本質になるはずです。年間3万キロ移動する渡り鳥や、数千キロの旅をするサケの体に多様な微量栄養素が蓄積されるように、旅に耐える体を作ることから旅は始まるのかもしれません。