6年で13万km目前のフィアットが点検から帰ってきました。ワックスがけやコーティングは一度もせず、機械式洗車でさえ滅多にかけず、軽トラックのように酷使しているので、車内にはウッドチップや薪の破片と犬の毛が散乱しています。これまでに乗った車のなかで走行距離の伸びが最速なのは1km走るのに燃料費が4、5円と安く、かつ長距離の運転が苦にならないからです。1.2Lのディーゼルは低速域から厚いトルクがあり坂道でも遅いと感じることはありません。高級車やスポーツカーが、血管が縮小して一気に血流が上がる交感神経系の刺激だとすると、小さなエンジンが健気に回るフィアットはしみじみとした副交感神経系の喜びです。幸福感には2種類あり、高額な商品は決まって前者でその高揚感がすぐに終わることが難点です。車検を待たずに高級車を買い換えるのは節税やリセールバリューだけが理由ではなく飽きるからだと思います。そしてモア&モアの終わりなき上昇志向の欲望から抜け出せなくなります。車に求めるのは人の能力を低下させる安楽装置ではなくプリミティブな性能です。最小排気量のフィアットはもうこれより下がないミニマルな魅力があり、他の車に乗り換えたいと思いません。