自宅の居室の多くは地下にあり自分の部屋と玄関が1階にあるのですが、屋内に階段のある家に住むのは30年ぶりです。階段のある暮らしで気づいたのは、朝起きた直後の脚はぎこちない動きで階段を下るという複雑な動きを器用にこなせないことです。寝ている間は硬直状態で一晩のうちに驚くほど身体機能が低下していることを実感します。椅子に座る生活と喫煙が同様に健康を害するように、身体機能を抑える安楽な暮らしは飢餓など生存環境が悪化しているという誤った信号を身体に送り、生存確率を上げるために新陳代謝を押さえ脂肪を蓄え、体は衰弱し気持ちも落ち込みます。運動をしなければ筋肉は減り関節は硬くなり、免疫系は低下し衰えが始まります。長い自粛生活が明け最初にしたいことは山に行き身体を動かすことです。生存が保証された戦後生まれにとって絶対的に必要なものなどありませんが、健全な精神衛生を保つ上で自然のなかで運動する時間が必要だと思います。外界の雑音から隔絶された森で過ごす時間ほど人間の生体リズムと調和するものはなく、森のなかを歩くという単純な経験さえも美しい奇跡に変わります。