運動栄養学のコペルニクス的転回

世界で最も会いたい人は現在70歳のマルコ・オルモ(Marco Olmo)です。イタリア人とトレイルランニング関係者なら知らない人がいないトレラン界のスーパースターです。世界最高峰のレースUTMB(Ultra Trail du Mont Blanc)で2005年の3位を皮切りに翌2006年、2007年に連続優勝しています。彼をウルトラトレイルの英雄足らしめているのは2007年優勝時の58歳11ヶ月という年齢です。フランス、イタリア、スイスとヨーロッパ最高峰を駆け抜ける総延長163 km(当時)、累積標高差1万 mの過酷なレースに3回続けて入賞するなど超人的離れ業です。37歳でベジタリアンになり、40歳からウルトラレースを始めて偉業を成し遂げた彼が、普段何を食べ、何を考え、どのように暮らしているのか興味が尽きません。イタリア北部の貧しい農村の出身で、家庭の事情から思うような教育を受けられず長年肉体労働に就いたと言います。レースは不本意な半生を贖うもので、還暦も近い年齢で世界最高の栄冠を勝ち取った物語ほど心踊らされるものはありません。優勝した2006年、2007年のリザルトを見ると、前半の20位前後からレース後半の100km地点以降一気に順位を上げ独走していることが分かります。解糖系エネルギー産生で圧倒的に有利な若手選手を制してマルコ・オルモが優勝したことは、糖質重視だった運動栄養学にコペルニクス的転回をもたらしました。

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