労苦ではなく作品

キャリア論の授業では働くことの意味を議論します。労働者を効率よく働かせる思想に染まる経営学には、「仕事の報酬は仕事」といった理想論は通用しません。働くことを生きるために必要な労働(Labor)、すなわち労苦と捉えます。政府の働き方改革の中心議題が時短になるのも同じ発想です。本来の働く意味は生きるため以上の仕事(Work)、すなわち作品だと思うのですが、何かと息苦しい日本の働く環境ではそうした認識は根付きません。多くのサラリーマンがリタイアで労苦から解放される日を夢見る日本の働き方は不幸です。長年の労苦に耐え人生の主体性を取り戻す頃には生きる気力さえ失っています。金のために働くという比較の尺度が一度作られると、仕事を損得で判断するようになり、そこには自己の成長や生きがい、楽しみを見出すことはできません。自分に正直になり、仕事を主体化することこそ幸せの鍵であり、授業で伝えたいのはそれだけです。

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