
北アルプス・北穂高岳直下の北穂高小屋では例年より早く、初氷を観測したと言います。山では早くも初冬の足音が聞こえますが、あまりにも都会が暑すぎるので、夏山感覚で登るこの時期は、低体温症による山岳遭難が増える時期でもあります。灼熱化する都会の暮らしにおいて、四季の移ろいを感じる機会は年々少なくなりますが、山の近くで暮らすと四季おりおりの風情を感じることができます。人が人類史の大半を自然のなかで過ごしたように、人間らしい感性を保つには、なるべく都市の人工空間を離れて、自然のそばにいる必要があると思います。自然と一体になる暮らしは、人類を長年苦しめ続けてきた寒さとの戦いでもありますが、われわれの体は氷河期を生き残るために進化しており、寒さという刺激が人体を活性化します。山が一番美しい表情を見せる冬の訪れは、これからの季節の楽しみです。