戦後の世界において、2023年ほど平和の尊さを考えさせられる年はなかった気がします。アメリカからの軍事支援が底をつき始め、膠着状態の続くウクライナ戦争では、一枚岩だったウクライナの政治にほころびが見られ始めたと伝えられます。皮肉なことに一方のロシア経済は好調で、戦時下のバラマキ財政がGDPを押し上げ、動員により失業率はソ連建国以来最低水準まで下がります。スイフト決済から追い出され、半導体が止まれば行き詰るはずだった経済は、今年の実質GDPでアメリカを超える成長率が予想されます。第三国経由で西側製品が入り、抜け道を使ったエネルギーの輸出は続き、むしろヨーロッパ諸国を逆制裁する形になっています。戦争を景気浮揚策と考える悪夢は、朝目覚めたとき、無事に平和な一日を迎えられる幸せに、感謝する謙虚さを忘れたときから始まるのかもしれません。