昨日は父方の親戚が住職をする広島県内の寺を訪れました。故郷らしき場所を持たない自分にとっては、子供の頃、夏の暑い時期に来ていた記憶をとどめる特別な空間です。山の中腹にある境内から瀬戸内海越しに眺める島々は、田舎ならどこにでもある当たり前の風景の連続する心地よい場所です。質素な暮らしを通した静寂の中でこそ自分の内面に焦点を合わせることができると思います。その後宿泊した三原市の旅館は戦後まもなく建てられた懐かしい昭和の風情を残す建物で、床の間や明り取りの障子の造作など、簡素ながら日常のなかに芸術性に接する美意識を当時の日本人が持っていたことが分かります。日本が今ほど豊かになる以前の昭和の感性の方が、今風の快適な宿泊施設より知的で大人に見えます。