欲しいものが消えていく

好ましい傾向ですが、年々欲しいものが消えていきます。数少ない趣味の自動車でさえ現在乗るフィアット以上の車はないと思っているのですが、先週米国で世界初公開されたフェアレディZは特別な存在です。世界中がカーボンニュートラルを目指すなか、電動化技術に背を向けたV6 3.0リッター405PSのツインターボエンジンと6速MTのFRスポーツカーを市場に出す日産の姿勢に共感しないわけにはいきません。ロングノーズ・ショートキャビンの伝統的なシルエットは初代S30型を彷彿とさせ、往年の240ZGや伝説の432の面影は当時の車好きにとっては手の届く夢のスポーツカーです。インストルメントパネル上の3連メーターも泣かせる演出ですが、何かの間違いでもなければ自分の車になることはないでしょう。わずか75psのフィアットでも700馬力超のフェラーリでも歓びを感じる時の神経伝達物質の分泌量は同じで、運転の楽しさは同じかせいぜい微細な差しかないからです。これはあらゆる商品に言え、朝採れの野菜とミシュラン星付きレストランの料理の美味しさも同じです。付加価値を乗せても人体の反応は同じであり、焦点をあわせるべきは商品ではなく自分の感覚でしょう。

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