良い旅がそうであるように、数日山にいると人生について考えます。見渡すばかりの稜線、山頂での夕暮れのひととき、早朝の神秘的な空の美しさなど、山の楽しみは数あれど最高の楽しみは下山後の温泉かもしれません。普段の生活との落差を楽しむのがレジャーなら山旅はその最右翼でしょう。人生に必要なものは常に自然とともにあり、文化的な進歩は自然の摂理から離れて行きます。テント泊は1泊1,000円が相場で、多少の体力があればこれほどスペクタクルな体験ができ、下山後に入る温泉の料金も銭湯とそう変わらず、新宿直行バスの料金も日常の経済範囲を大きく越えるものではありません。何事にもお金は必要ですが、他方で人生を満たしてくれるお金は世間が考えるほど大げさなものではありません。山に行くととにかく元気になります。美味しい空気を吸い込み、運動による脳の血流上昇のためか何事にも前向きになります。普段の生活を離れて山上で生活をすることは、質素ながらとてつもなく贅沢な時間を手に入れ、人生の真に必要なものに気づくことだと思います。