面子を捨てた業界再編

藤田観光が東の椿山荘と双璧を成す大阪市の太閤園を国内法人に売却し329億円の特別利益を計上すると公表されました。2019年のG20大阪サミットの閣僚会合に使われた同社を代表する施設は会社にとって精神的支柱と言えます。ワシントンホテルの売上が前年比の26.6%に留まったのが致命的で会社再建のための苦渋の決断であったことは想像に難くありません。債務超過は回避したものの大きく毀損した自己資本比率は1.2%に低下しました。しかし、決算説明資料に並ぶ文言はリピーター獲得や高付加価値商品による収益確保など平時と変わらず、徹底したコストカットや資産売却以外に効果のある施策が見られず、経営陣以下どうして良いのか困惑しているのでしょう。一時帰休や処遇変更により中核となる人材の慰留が困難になれば負のスパイラルが止まらなくなります。業界はSARSやテロの影響により客室稼働率が落ち込む困難を乗り切った経験がありますが、今回は供給過剰の市場を前例のない落ち込み幅が襲い、かつての日産が行ったような面子を捨てた業界再編規模の経営の刷新が必要な局面を迎えているように見えます。

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