
思い出の山はいくつもありますが、昨日登った北ノ俣岳は忘れえぬ山です。2022年8月8日の早朝5時過ぎ、この山頂はピオレドール賞4度受賞のアルピニスト、平出和也さんに会った場所です。TJARの選手の到着を待つ間に伺った話からも、K2への思いが伝わり、2年後に人生の集大成と言える山で消息を絶つなど想像もしませんでした。この後、先行する私と妻を、3倍ほどの荷物をかつぎながら軽々と追い抜いて行きました。平出さんとは南アルプスでも2度会ったことがあり、その体力、美しい肉体、沈着冷静で誠実な人柄に触れることができました。正規ルートでもエベレストのバリエーションルート並みの難易度とされるK2から、無事に戻って来てほしいと切実に願いました。登山家の野口健氏が、「先鋭的な登山を続けていれば、一部の例外を除いて時間の問題でいつかは死ぬ」と記した言葉がいつまでも頭を離れません。