コーヒーだけが厳格


代々木上原のナドヤノカッテに行きました。昭和30年代と思しき住宅を、はつり工事と床のコンクリート打ちを行い、目立つのはかつての風呂場に作られたバリスタカウンターだけです。朽ち果てた電源やビニールをかぶった断熱材、天井裏など隠そうともせず、コードが天井からぶら下がり、照明器具もデザインされた形跡がなく、あるのは静かに流れるBGMだけです。トイレすら床のタイルはかつてのものを使い、汚いはずの空間がなぜか懐かしく時が止まったようです。置かれる雑誌にもこだわりがなく、世界観や没入体験に疲れてきた人間にとっては何とも落ち着きます。自然と呼吸が穏やかになり、90分の制限時間はすぐにやってきます。世界観も物語性も希薄な空間に対して、グリッチコーヒー&ロースターズのシングルオリジンコーヒーはブラック一択で、豆によってはラテも断られ、コーヒーの厳格さだけが際立ちます。

Translate »