無邪気に憧れた自動車の時代

福島への道すがら、道路わきに放置されているアルファロメオ・ジュリアがいつも気になります。手放しで自動車を追い求め上を向いて生きて行けた、「坂の上の雲」的な時代を思い起こします。新車で買える現行車両の中からこれに似た感覚を求めるなら、商用車のホンダ N-VANでしょう。N-VANが魅力的なのはごく個人的な感覚ですが、免許を取った頃に発売された初代シティをどこか彷彿とさせるからです。初代シティは文房具のように削ぎ落とされた潔さを、チープシックに乗りこなすエポックメイキングな車でした。一方で内燃機関に将来を見出せない時代に入ると、GM的な計画的陳腐化により正常進化を遂げた現代の車は、肥大化したおもちゃのようで心惹かれることはありません。ルノー5を思わせるターボやカブリオレ、商用バンのシティプロまで派生させた初代シティの末裔とも言えるN-VANには、無邪気に憧れることができた自動車の時代を感じます。

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