季節の終わりに寂しさを感じるのは夏だけでしょう。TJAR (Trans Japan Alps Race)ロスもあって、すっかり夏が終わった気分です。賞金の出ないレースに参加費33,000円を払い平均年齢40歳の30人だけがスタートラインに立てる2年に一度の祭典は、人間が挑戦しうる最も過酷な試練でしょう。サラリーマンが取得可能な1週間の夏休みで、日本海から3,000m級の連なる日本アルプスを越えて太平洋まで自分の足で踏破するというロマンあふれる旅は、2002年に4人が始めた草レースから20年が過ぎ、2012年にNHKスペシャルで放送されたことをきっかけに今や世界最長のトレイルレースとして知られます。想像を絶する過酷さに加え、ルール変更により山小屋での食料調達や例外的に認めていた一ノ瀬チェックポイントでの差し入れも禁止され登山の原点に戻るというストイックさこそ人気の源でしょう。人々を熱狂させるのはファインプレイではなく、背後に秘められた人間的な葛藤のドラマだと思います。