日常から目を背けさせる都市

昨夜は久しぶりに都心に行きました。今や希少となったイルミネーションのある表参道付近には人出があるものの、それも早い時間帯だけで、赤坂見附あたりでは帰宅を急ぐ人が目立ち年の瀬らしからぬ寂しい雰囲気が漂います。それでも夜の都市には洗脳装置として人々を引き寄せ精神を麻痺させる魅力があります。従順な都市住民の証であるマスクをした人々の流れを見ていると、紀元前以来都市住民を守ってきた城壁は安全地帯を提供するためではなく、甘い罠で我々を都市に縛り付けるための檻に見えます。あらゆる欲望を引き寄せるために設計された都市は、同時に生きる力を奪います。退廃を広げる媒介として、商業主義に影響されやすい中産階級の心と感覚を蝕み、自らの運命に無力感しか持ち得ないようにします。調和の取れた精神状態を保つには体を自然界のリズムとシンクロさせる必要がありますが、無秩序な都市に身を晒していると、気づかぬうちに自制心を失わせ感受性を鈍らせて人々の行動に深い影響を与えると思います。人々を魅了し続ける都市は大切な日常から目を背け生きる意味すら覆い隠してしまうのかもしれません。

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