オリンピック開催が悲観視されるなか電通グループが過去最大級の3,000億円規模とされる本社ビルの売却に踏み切ると報道されます。パンデミックリスクの高い都心にオフィスを構える必要性が薄れる非接触社会が到来しつつあります。オフィス面積の削減が進み東京都心5区のオフィス空室は前年同月比3倍に拡大しましたが、働き方の自由度を奪うオフィスがなくなることは好ましいと思います。削減される賃料や通勤コストを原資としたリストラクチャリングにより次の事業を生み出す方が合理的ですが、オフィスが持つ不自由さのなかに安心感を覚える生き方もあります。サラリーマンの多くは自由と安定の間で葛藤します。企業経営はこの半世紀に何度か危機に見舞われながら結局ドラスティックな働き方の変化は起こらなかったように見えます。だから今度も大丈夫だと思うのは危険で、平成元年に世界時価総額トップ30の大半を日本企業が占めていた事実を知るなら、古いメンタルモデルに安住する働き方がイノベーションを殺してきたことに向き合うべきだと思います。