GoToトラベル犯人説とともに責任をかぶせられた飲食店の昨年の倒産件数は過去最高と伝えられます。一方で株価は依然好調ですが、見方を変えると打撃を受けている外食や旅行関連産業は経済にとってそれほど大きな影響がなかったことになります。無責任な言い方が許されるなら日本の低い生産性の足かせとなってきたこれらのサービス産業にイノベーションが起きる機会が訪れるかもしれません。ホスピタリティ産業のイノベーションは1980年代のアメリカのように不況期に生じており、捉えようによって災いは好転するのでしょう。国土を焦土にされた日本とドイツが戦後の世界経済を牽引したように、どれほど状況が悲惨でも好ましい面を見出すことはできます。GAFAなどのビッグテックのイノベーションが技術的に引き起こされたのに対して、ホスピタリティ産業のイノベーションは発想の転換であり、その出発点は現状のコモディティに対するある種の怒りです。多くの場合、二つ以上の業界が交差する場所でイノベーションは起こり、業界論理を無批判に受け入れない反逆的態度が必要なのでしょう。