日本のモータリゼーションの生き証人といえるクランの生産中止が噂されます。買った唯一の国産車は軽トラックですからクラウンを買いたいと思ったことはないのですが、日本を代表する一台を選べと言われたらその最右翼でしょう。国内市場を前提に作られ、今や日本人からみてもエキゾティシズムを覚える独自の世界観を作りあげていると思います。世界のスタンダードとして通用するGTRやジムニーとも、もちろんレクサスとも違う日本固有種ならではの静寂性と比類なき乗り心地は、似ているものを探すならかつてのセンチュリーや随分昔のプレジデントぐらいでしょうか。車に興味がない人が乗ってもそのただならぬ雰囲気を感じ取ることができるはずです。2030年代には内燃焼機関の販売が終わるとの物騒な話題が持ち上がり、最後に乗るエンジン車を一台選ぶなら、意外にもクラウンは選択肢に入るのかもしれません。日本が豊かになる過程の「いつかはクラウン」という憧憬と、青春と自動車が同義語だった世代の郷愁を同時に満たす車はクラウンをおいて他にはないかもしれません。