江戸の庶民はアスリートだった!

昨日読んだ「歩く江戸の旅人たち スポーツ史から見たお伊勢参り」は興味深い内容でした。1830年に伊勢を訪れた人数は3月から6月までの4ヶ月に427万人に達し、当時の日本の庶民層は約26百万人ですから6人に1人が伊勢参宮をしたことになります。寺社への参詣を旅の目的にすれば関所手形を得やすいため信仰心は旅に出るための隠れ蓑に使われたようです。各地の講が旅行のための互助会として機能していたことも同じです。驚いたのは一日の移動距離で、旅日記39編の分析によると東北の庶民(男女)の一日平均の歩行距離は34.1km、総歩行距離は平均で2,361.3kmに達します。計算すると69日以上も過酷なステージレースを続けたことになり当時の庶民はエンデュランススポーツのアスリートでした。街灯設備が乏しい時代は主要幹線でも日没後の外出を禁じられていたため移動は日中に限られます。記録の残る年齢幅は18歳から56歳ですが年齢と歩行距離には相関が見られません。歩く速度で旅をしていた時代の旅は現代とは全く別次元の過酷極まりないエクストリームスポーツそのものであり、旅に駆り立てる強烈な思いがあったのでしょう。

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