エキセントリックな本質

N-VANには、初めて原付に乗った日の爽快感と、どこにでも行けるという自由を得た喜びに似た感覚があります。しかしそれは、若者特有の解放感とは違い、ノマドランド的な世俗のくびきから解き放たれる清々しさです。ノマドランドは何事も起こらず、派手な展開もない、荒涼としたアメリカの大地を舞台にした映像が印象的な映画で、寂し気な音楽が悲しみや喪失感を抱えた心の内を伝えます。屋根の下での幸せな暮らしを捨て、アマゾンの配送センターに象徴される、過酷なヴァン・ライフを主人公が選ぶのは、大半の米国人が65歳以降も働く必要があるからです。そんなエキセントリックな行動が本質に見えるのは、人類史の大半が流浪の民だったからでしょう。この映画に惹かれるのは、自然とのつながりを感じながら自分をそぎ落としていく生き方こそが、本当の自分を取り戻す唯一の方法だからかもしれません。

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