商品化する以前の余白


御嶽山に登る前に藪原宿にある蕎麦屋のおぎのやに行きました。明治とされる古民家の高い天井が印象的で、隣接する蔵は客室のようです。12席の囲炉裏+8席の店の生産性を倍にするのは簡単に見えますが、ざるそばにも口直しの梅シャーベットがつくなど丁寧な接客が印象的で、観光色が薄まる冬に訪れたいと思わせます。妻籠、馬籠宿は団体が押し寄せる見世物小屋状態ですが、最も早くから街並み保存を前提にしてきた土地が、映えスポットとなり、団体バスで来て短時間写真を撮る場所になったことは皮肉です。奈良井・藪原・福島など、よりマイナーな宿場街は完成された観光商品でないことが幸いして、現代の成熟した個人旅行者に刺さる可能性が高いと思います。日本人もいない鳥居峠に向かう道を欧米ハイカーが歩く姿は、成熟した旅行とは何かを考えさせます。観光資源として商品化する以前の余白こそが必要なのでしょう。

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