逆説的リアリティ


「ロシア軍の日本人兵士」を読みました。第一次世界大戦同様の塹壕戦の一方で、新しい戦争と言われるのはSNSに情報があふれ戦局の実態が見えない点だと思います。客観冷静を装う識者の言うことも話半分で聞く必要がありそうです。特殊部隊アフマットの狙撃兵という著者の特殊な属性を差し引いたとしても、戦争当事者による一次情報は貴重です。本書の内容を信じるのであれば、突撃兵の8割前後とされるロシアの損耗は深刻に見えます。アメリカもイランとの非対称戦に苦戦しますが、ソ連以来の世界最大級の陸軍と対峙するのは、最強の軍事スタートアップです。その非対象性が戦争の帰結を不透明にします。ロシア経済が疲弊すれば、結果として地域のミリタリーバランスが崩れ、次の紛争の遠因になるかもしれません。それにしても、生を最も感じられる場所として戦場を選んだ著者の生き方は、逆説的ながら奇妙なリアリティを感じます。

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