


明治神宮の杜に行きました。樹高は信じられないほどの高さに達して空を覆い、日本屈指の深い森が山手線の駅前にあることは奇跡だと思います。全国から10万本の献木により作られた神域の杜は、江戸期以降の武蔵野の二次林以前の原始の姿を今に伝えているように思えます。セントラル・パークのような都市に作られる森が景観工学の観点から計画されるのに対して、明治神宮の杜はシイ、カシ、タブノキ、クスノキなど、常緑広葉樹による関東南部の自然の原風景を復元したことに、先人の先進思想を感じます。100年かけて自律的に自然化した薄暗い照葉樹林は、日本人が失った太古の森の記憶を蘇えらせると同時に、独特の畏怖を与えます。日本の観光は寺社仏閣などの文化資産を中心に形成されてきましたが、その神髄は自然と信仰の融合にあり、明治神宮を擁する東京人は、わざわざ遠くまで出かける必要がない気がします。